RX-8ユーザーの皆様は、一度はエンジンオイルについて悩まれた経験があるのではないでしょうか?
インターネットで検索しても、
「鉱物油じゃないとスラッジが溜まってエンジン寿命を縮める」
「街乗りだったら、その辺に売ってる適当なオイルでも問題ない」
「RX-8専用の化学合成油じゃないと絶対ダメ」
といった無数の意見が飛び交っており、RX-8ユーザー間でも意見が別れているのが現状です。
そこで今回は、
・RX-8に適したエンジンオイルとは?
・安くておすすめできるエンジンオイルについて
以上の点について、解説していきたいと思います。
RX-8に求められるエンジンオイルとは?
出典:三井ダイレクト損害保険株式会社
RX-8はエンジンオイルの負担が大きく、要求性能が高い
RX-8は「ロータリエンジン」を搭載している関係上、エンジン内部の冷却をエンジンオイルのみで行う構造のため、油温が高温になりがちです。
特に前期型はオイルクーラーが1個しか付いていないこともあり、街乗り時であっても油温が110℃を超えるような過酷な環境に晒されることもあります。
つまり、RX-8はレシプロエンジン車以上に、エンジンオイルの性能が求められます。
RX-8にはポリマー(粘度指数向上剤)に頼らないエンジンオイルが最適
エンジンオイルには、ポリマー(粘度指数向上剤)などが含まれており、油温が高くなった場合においても、粘度を維持する機能があります。
しかし、このポリマーは圧力がかかり続ける状況が続くと、粘度を維持する能力が失われてしまいます。
その結果、エンジンオイルの粘度低下を引き起こしてしまい、エンジン保護性能も急激に低下します。
出典:シェルルブリカンツジャパン株式会社
また劣化したポリマーは容易にカーボン化してしまうので配合量が多すぎる場合、スラッジとしてエンジン内部に堆積してしまいます。
ロータリーエンジンはスラッジの固着に弱く、圧縮圧力(コンプレッション)が低下する原因となります。
出典:シェルルブリカンツジャパン株式会社
つまりRX-8には、ポリマー(粘度指数向上剤)に頼らない耐熱性に優れたエンジンオイルが求められるのです。
ポリマー(粘度指数向上剤)に頼らない耐熱性に優れたエンジンオイルの見分け方とは?
RX-8には、ポリマー(粘度指数向上剤)に頼らない耐熱性に優れたエンジンオイルが最適だと述べました。
ではこの条件を満たしたエンジンオイルの探し方について、下記で述べていきたいと思います。
ベースオイルの性能に注目する
ベースオイルとはエンジンオイルの主成分となるオイルです。
ベースオイルはAPI(アメリカ石油協会)により、5段階(グループ)に分類することができ、グループが進むにつれて品質が向上していきます。
ベースオイルの種類 | 耐熱性能 |
---|---|
グループⅠ 鉱物油 | 低(100〜120℃) |
グループⅡ 鉱物油 | 低(100〜120℃) |
グループⅢ 高度水素化分解基油(VHVI、HIVIなど) | 中(170〜200℃) |
グループⅣ PAO(ポリアルファオレフィン) | 高(200〜220℃) |
グループⅤ グループⅠ~Ⅳに属さないベースオイル(エステル系など) | 高(200℃程度) |
ベースオイルの種類によって、耐熱性能がこれだけ変わってきます。
RX-8は街乗りでも110℃を超えてくるような車なので、グループⅠ、Ⅱのベースオイルでは耐熱性能に余裕がありません。
RX-8のエンジンオイルを選ぶ際には、まずはグループⅢ以上のベースオイルが使われているかを確認しましょう。
極端にワイドレンジなオイルは避ける
エンジンオイルには、商品名の他に5W-30などといった数字が記載されています。
これはオイルの粘度を表しており、SAE粘度グレードと呼ばれます。
・5W-30などの「5W」は冷間時のオイル粘度を表しており、数字が小さければ小さいほど、低温でのエンジンオイルの流動性に優れていることを示しています。
・後ろの数字「30」は高温時のオイル粘度を表しており、数字が大きければ大きいほど、高温でのエンジンオイルの粘度が高いことを示しています。
と考えると、5W-30のオイルよりも0W-50のオイルのほうがいいと思うかもしれませんが、そうではありません。
ワイドレンジオイルは粘度指数向上剤を多く配合することで規格を満たしているためです。
つまり、発熱量が多いRX-8に0W-50のようなワイドレンジオイルを使用してしまうとスラッジが大量に発生し、逆にエンジンにダメージを与える結果となってしまいます。
ですので、RX-8にはこういったワイドレンジオイルを選ばないようにしましょう。
5w-30や0w-30のオイルがRX-8には適しています。
0w-20も使えますが、夏場の使用は避けたほうがいいでしょう。
RX-8にオススメできるコスパの良いエンジンオイル
Gulf ARROW GT30 0W-30
1つ目にオススメする商品はガルフが発売しているGulf ARROW GT30 0W-30です。
このオイルは、レースの現場で実績のあるポリマーを採用することで、高い耐熱性とエンジン保護性能を実現しており、2016年にはロードスター耐久レースの推奨オイルにも採用されています。
また質の高いベースオイル「PAO」を配合することで、ポリマーの使用量を抑えつつ、性能を確保していることも特徴の一つです。
そしてこのオイルの1番の魅力は、価格が安いことです。
Amazonでの販売価格は4L缶 約6,500円(2024年9月時点)と破格の安さなので、RX-8に常用するオイルとしてオススメです。
著者も実際にこのオイルを使用しておりますが、低温時の流動性にも優れており、フィーリングが特に良好なので使う頻度が多いです。
SPEED MASTER RE TUNING NA 5W-35
2つ目にオススメする商品は、スピードマスターが販売しているSPEED MASTER RE TUNING NA 5W-35です。
このオイルは、RX-8専用品としてロータリーエンジンに適した設計がなされていることが特徴です。
具体的にはベースオイル「エステル」と「アルキルナフタレン」を高配合することで、高い耐熱性とエンジン保護性能を実現しており、金属表面に吸着し保護被膜を形成する摩擦調整剤に、無灰分成分を採用することで、スラッジの発生を抑制する処方がされています。
価格はGulf ARROW GT30 程ではありませんが、8,900円程度とRX-8専用品としては、安価に購入することが可能です。
5w-35と少し固めで、他のオイルと比較して熱ダレにも強いので、著者は酷暑期に使用するオイルとして重宝しています。
10w-40と固めの粘度ですが、似たような特徴を持つ トラスト GReddy エンジンオイル F3 RE-SPEC 10w-40 も同様にオススメできるオイルです。
Shell Helix Ultra Euro 5W-30
3つ目にオススメする商品はシェルが販売しているShell Helix Ultra Euro 5W-30です。
このオイルは天然ガスから製造されるシェル独自のベースオイルを採用しています。
原油由来のエンジンオイルに比べて、ベースオイル自体の性能が優れているので、ポリマーの添加量を減らしながらも高い耐熱性、エンジン保護性能を実現しています。
また硫黄や窒素といった不純物をほとんど含まないため、不純物由来のスラッジの発生を抑えることにも成功しています。
価格も7,000〜8,000円程度と比較的安価で、イエローハットやオートバックスといった量販店でも販売されているので、入手性にも優れています。
著者はイエローハットの会員カードを持っており、イエローハットで交換する際にはこのオイルを指定しています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、RX-8に適したエンジンオイル、オススメの商品について解説させていただきました。
皆様のオイル選びの参考になれば幸いです
以上、motomoro-style(@Motomoro_style)でした!