今回はトーヨータイヤが販売するウィンタートランパスTX(Winter TRANPATH TX)をレビューしていきたいと思います。
同メーカーのタイヤはトランパスmpzやPROXES CL1 SUVといった夏タイヤを使用したことがありましたが、スタッドレスタイヤについては使用経験がありませんでした。
結論から言えば、個人的には今まで買ってきたスタッドレスタイヤの中で性能、価格の面で最も満足できるタイヤだと感じました。
今回、デリカ:D5に履かせた上で、様々なコンディションで走行することができたので、良い点やイマイチな点等をレビューしていきたいと思います。
ウィンタートランパスTXとは?
ウィンタートランパスTXは、ミニバンやSUV等の車高の高い車に生じやすい「ふらつき」の抑制に主眼を起きつつも、アイス性能もしっかり確保したスタッドレスタイヤです。
出典:TOYO TIRE株式会社
接地圧が高くなるイン側に制動性を重視したスーパーソフトコンパウンド、コーナリング時に荷重のかかるアウト側に「ふらつき」を抑制するソフトコンパウンドを用いる「トリプルトレッド構造」を採用することで、アイス性能と操縦安定性を両立。
出典:TOYO TIRE株式会社
さらに、フライコードの巻き上げをあえて高めにすることで、横方向の剛性を高めるトランパスシリーズの技術「スーパーハイターン構造」とすることで、「ふらつき」を効果的に抑制しています。
出典:TOYO TIRE株式会社
スタッドレスタイヤの要である「ゴム」には、氷上で滑る原因となる水膜を瞬時に吸水、除去する「NEO吸着ナノゲルゴム」を採用。
出典:TOYO TIRE株式会社
さらに、パターンブロック壁面につけた凹凸が互いに支え合う設計によってサイプの倒れこみを抑制し、サイプ全体でエッジ効果を高める技術「3Dダブルウェーブグリップサイプ」を用いることによって、優れたアイス性能を実現しています。
出典:TOYO TIRE株式会社
水膜の吸水と路面へのひっかきの2つの作用で、アイス性能を高めています。
ウィンタートランパスTXの良い点
国産最安のコスパの良さ
ウィンタートランパスTXはメチャクチャ安いです。
著者の購入したサイズ(215/70R16)では安い販売店では、1本当たり11,000円(2024年9月現在)程度で買えます。
他の国産スタッドレスタイヤは、軒並み15,000円を超えるものが多い中で、この価格は衝撃的です。
ちなみにブリヂストン VRX3は17,000円以上(2024年9月現在)するので、4本購入すると20,000円以上の差額が生じます。この差は無視できないレベルだと思います。
しかも国産なので、品質も悪くないです。
雪国でも不満のないアイス性能を確保
著者の居住地は豪雪地帯に指定されており、アイスバーンに遭遇することが多いですが、そういった場面でもしっかり路面を捉えることができる印象を感じます。
また、路面情報をステアリングにもフィードバックしてくれるので滑り出しの感覚が分かりやすく、運転していて気が楽だなと感じました。
他メーカーのスタッドレスタイヤと比較して、アイス性能の差を感じる場面はありません。
上図はTRANPATH TX、下図はブリヂストン VRX3。
雪や氷をひっかく「エッジ効果」、水を取り込む「除水効果」を生み出すために必要な「サイプ」は同程度の数が切られている。
もちろん、厳密な比較を行えば性能差が出るかもしれませんが、普段遣いで性能差を感じることはありません。
日本国内で販売されるスタッドレスタイヤは、北海道も含めた日本の冬道を走行すること想定して開発されており、一定以上のアイス性能を確保しています。
一方で、海外向けや格安アジアンメーカー製のスタッドレスタイヤは日本の冬道を想定して開発されていない場合が多く、アイス性能が不足しているものもあるので注意が必要です。
まるで夏タイヤのような走りを実現
スタッドレスタイヤは一般的にスピードの出る郊外道路、高速道路などでは、タイヤのヨレ感やふらつき感が出やすく、
特にデリカ:D5は車高が高くスタッドレスタイヤのネガが出やすいのですが、運転していてふらつきを感じた場面は全くありません。
「トリプルトレッド構造」、「スーパーハイターン構造」の効果は大きいです。
感覚的には夏タイヤを履かせているのと変わらないほどです。
スタッドレスタイヤとしてはゴムの硬度が固めでヨレも少ないので、車高の高い車種に起こりがちな偏摩耗の問題も生じづらいと言えるのも良い点です。
ヨレの少なさはタイヤの接地面積を安定させることにも寄与しており、舗装路だけではなく雪道やアイスバーンにおいても、高い効果を発揮しているように思います。
ウィンタートランパスTXのイマイチな点
ロードノイズが大きい
舗装路を走っていると「ゴー」と言うような音が気になります。
ロードノイズの感じ方には個人差がありますが、個人的にはギリギリ許容できるけど、オーディオを楽しむことはできないなと思う程度にはうるさいと感じます。
上位価格帯のVRX3、X-ICE SNOWなどのタイヤはロードノイズもしっかりと抑え込まれているので、音に敏感な方はそういったタイヤを選択するべきだと思います。
ロングライフ、性能持続性能が未知数
VRX3、X-ICE SNOWといったタイヤの紹介ページにはロングライフ・性能持続性に関する記載があるのですが、ウィンタートランパスTXのそういった紹介ページがありません。
出典:日本ミシュランタイヤ株式会社
出典:株式会社ブリヂストン
実際、ブリヂストン製のスタッドレスタイヤは初期性能の持続力に優れていると著者は感じており、5年目以降も使えると思っています。
ウィンタートランパスTXはそういった技術的主張がないので、耐久性や性能持続力の面で不安が残ります。
次年度以降のアイス路面の効き具合については、今後レビューしていきたいと思います!
冬タイヤにもふらつきのない剛性感ある走りを求める方に特にオススメ!
ここまでトーヨータイヤ ウィンタートランパスTXの良い点、イマイチな点等についてレビューしてきました。
このタイヤの1番の魅力は冬タイヤに求められる性能を確保しつつも夏タイヤのような剛性感、ふらつきの少なさを両立した点だと思います。
国内で販売されているほとんどのスタッドレスタイヤがアイス性能に注力して開発され、ドライ路面での走りを犠牲にしているものが多い中で、このタイヤは唯一無二の存在だと言えます。
価格も安値で推移しているので、気になった方は是非チェックしてみてください!
総合評価
評価項目 | 点数 | 備考 |
アイス性能 | 氷上、雪上性能とも雪国でも常用可 | |
ウェット性能 | 豪雨時でも問題なし | |
ドライ性能 | 剛性感に優れ、特に良好 | |
効きの持続性 | 性能持続に関する技術記載なし | |
静粛性 | 多少のロードノイズあり | |
乗り心地 | 耐ふらつき性能に優れる | |
寿命 | ゴム質は固めだが、耐摩耗性に関する技術記載なし | |
コストパフォーマンス | 国産最安。アジアンタイヤと同程度 |